黒子奮闘記

「それ行けクロさち」

2006年3月18日加子母歌舞伎国立劇場公演

東京国立劇場にて加子母歌舞伎の公演がありました。この公演で黒子を努めさせていただいた田口幸子が、この公演の裏話を『黒子の裏方奮闘記』としてみなさんにお伝えしたいと思います!

 

寒さとの戦いの稽古の日々・・

今回の公演の稽古は、寒い真冬の1月から本格的に始まりました。明治座はとにかく寒い!しかも、みんな仕事や学校を終えてからの夜の稽古だったので、本当に寒さとの戦いでした。今回の公演は、2外題ということで、1外題につき大体2時間の稽古で、いつも終わるのは10時前後でした。3月の本番一週間前は毎日稽古があり、お師匠さんも役者も「満足できる加子母歌舞伎を!」という一心で乗り越えた気がします。黒子の私は意外と出番が多く、蝶々を振ったり小道具を持って走ったりと、役者としては経験できない、いかに目立たずに自然に存在するか・・を毎回考えながらの稽古でした。一番心に残った事は、稽古が進むにつれて、みんなの結束力が強くなっていくのを身をもって感じた事でした。みんながみんなの支えでした。

 

いざ東京へ出陣!

3月17日朝5時30分、東京に向けて役者・裏方は出発しました。・・なんてかっこよく書いてはみるものの、私黒子は乗り物酔いがひどいため、1人電車で東京へ向かいました。ちょっぴりさみしい旅立ちでした。でも、1人電車に乗っているとき、仲間からメールがきました。とてもうれしくて、そこから東京までは早く感じました。東京に12時には着きみんなと合流し、2時から国立劇場でのリハーサルの予定でした。しかし劇場側の都合でリハーサルがどんどん遅れて、結局始まったのは6時・・。さすがにみんな疲労の色は隠せませんでした。しかし、やっぱり国立劇場はすごい!何もかもが本当に素晴らしく、私黒子のくせに人一倍緊張してしまいました。見せ場の蝶々を飛ばすところも、緊張しちゃって蝶々なのに微動だにせず・・という私らしい?最終リハーサルでした。

 

3月18日・いざ本番!

朝8時30分、宿舎を出発して国立劇場へ。前日練習が遅くなり、少し疲れ気味なはずなのに、みんな気迫が違う!テンションが変に高い!順番に顔を塗り、衣装を着る。みんなどんどん役そのものになっていくのですが、横で黒子はせっせと黒づくしの準備。途中加子母からの応援部隊が楽屋に顔をだしてくださって、みんなたくさんの元気をもらいました。いざ本番・・ 送り出すこっちまで緊張してしまって、でも役者のみんなはさすがに度胸がある!練習で上手くいかなかったとこも、みんな順調にこなしていき、1外題が無事終了。終わって楽屋に帰ってくるみんなの顔は、みんな自分の演技が終わった事の安心と、達成感でいっぱいでした。さて、いよいよ黒子として出る2外題目が開始!順調に過ぎていくところに何と大事件発生!!今回、仕掛け桶といって、割れるように仕掛けがしてある桶を使う場面があったのですが、その大事な場面にいく前に、お客さんを目の前に、仕掛け桶がスタッフの手によって割られてしまったのです!大慌てで割れた桶を集め、裏でまた仕掛けを組み直す!時間はないし、焦るし、次の黒子の出番は近づくし!本当に体中の汗が吹き出るくらいでした。なんとか仕掛け桶は組み直し、舞台に出したものの、もう黒子としての次の出番になってしまい、少し遅れてしまいました。あんなに焦った事は、最近本当になかったので、パニックになりました。でも、後々考えると、落ち着いて指示すればよかったな・・と反省ばかり心に残りました。まだまだ未熟です。そんな黒子を尻目に、役者のみんなは本番に強い!!本当に最高でした。終わって、疲れによるだるさと、終わった安心感による力が抜けただるさに、なぜか少し心地よさを覚えました。2外題とも、本当にみんな最高でした!黒子って難しい・・でもおもしろい!そんな東京公演でした。

 

国立劇場公演を終えて

今回この公演を通して、本当にいろんな方への感謝でいっぱいでした。お師匠さん、役者のみなさん、裏方のみなさん、朝早くから加子母から応援に駆けつけてくださったみなさん、加子母から応援してくださったみなさん・・等あげればきりがありません。本当に、本当にみなさんありがとうございました

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中津川市加子母(かしも)は檜(ひのき)と地歌舞伎の郷。かしも明治座は明治27年にできた、木造の芝居小屋。

岐阜県指定有形民俗文化財 かしも明治座

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