明治座大歌舞伎
十八代目中村勘三郎襲名披露公演
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勘三郎取材
今回夜の部でやった[義経千本桜 鮨屋の場]を、9月に加子母歌舞伎でも公演すると言うと、加子母歌舞伎の和田冨郎さんと細野廣志さんを交え、超マニアックな鮨屋談義が展開。プロ、アマ、関係なく、歌舞伎をやっている者同士の意見交換が繰り広げられました。これを機に引退ですという和田・細野の両人に勘三郎さんは…。
勘:中村勘三郎さん 小:小田孝治さん
富:和田富郎さん  広:細野広志さん
本:本間希代子
勘三郎さんの楽屋で
:(富郎さん広志さんに)やめないで下さいよ。まだ。
:ほらほらほら(みんなそうだそうだと言う)
:もう、八十才
:八十でしょ
:八十才と七ヵ月
:だって、うちのコサンザ八十五ですよ。それから、ジャクエモンさん八十五ですよ。
:みんな八十代半ばで現役でやってますから。
:いやぁ、もう、年の方がね
:いえいえいえ〜
:(富郎さんを見て)ほら、女形ひとすじってのがわかりますね。
:あぁ〜
:(広志さんをさして)こちら、七十九才。
:はぁ〜へぇ〜弥左衛門、とっつぁん。
:へへ。ここが(膝)痛うなってまって
:あぁ、そりゃ、しょうがないや。そりゃぁね。権太やってる人はいないの?
:あぁ、権太は...そのへんにいるんですけど…。
:あぁ、そうなんだ。
:こっちのやるやつはさ、どう?
笛は自分で吹く?
:あ、お里ですか?
:ちゃうちゃうちゃうちゃう。権太の笛。おっかさんに、ほら、タバコ入れから。
:権太の笛はお里が吹きます。
:わたしがもらって吹きます。
:あなたが(本間見て)吹くの?ほぉ〜、へぇ〜。いろんな型があんだね。あのね、おっかさんが、だいたいカブキは吹いてるんですよ。おれは自分で吹くの。文楽がそうなんですよ。だってあれ、子どもが吹いてる笛でしょ。だから、やっぱりおやじが吹こうって。やっぱ、それ、違うんだね。おもしろいね。お里が吹くの。へぇ〜〜〜〜。
中村勘三郎とおじいちゃん
:お見せしたいよね。
:見たい、見たいんですよ。あと、どんなとこが違うんだろ。(おじいたちに)どうぞ、足痛いから正座しないで。ねぇ、芝居の上だけにして。どういうところが違います?
:習っているのは、団女先生という方なんですけど。
:さっき、お会いした
:ここは、地芝居にしかないフリでって、ね(広志さんに)羽織を
:うんうん。あの、首を包んできて、ほで、お里と、ほで、弥左衛門と、上市村へ行けと言って、ほで、あの、「今宵が花のかがのうて〜」って行きよって、包んできた羽織を忘れてくもんで、そいつを持ちに行って、二人(弥助とお里)に見とれてて、あがりとをコテッと、こう、上はずれて、そのときに羽織りに血がついとるのに気づいてポッとかくいて、そいで入ると。
:なるほど〜。わぁ〜。
:あの〜、権太と権太の母が台詞のやりとりも、ここが違うて、と。お金を、三貫目をやって、鮨桶に隠す「おっかぁ、おめぇ、頭がいいな〜」「そりゃぁ、おまえを産んだ母じゃもの」
:あぁ〜、言うんだ〜。あ、おっかさんが教えてくれるんだ。なるほどなるほどね。
小:いやぁ、よろこんでくださって
:いやいや、また、偶然にね〜鮨屋だもんね〜
加子母勢:ありがとうございます。
:いつまでも大事に。これやっててよ。ほんとに。やり続けてよ。死ぬまでやって下さい。役者に定年はありません。

 

勘三郎さんは公演終了直後の異例のカーテンコールのなか、このお二人を舞台上に招くというサプライズを最後にプレゼントしてくれました。

勘三郎
楽屋の壁に落書きは今は禁止ですが今回は特別に公演の記念に一筆勘三郎さんにお願いしました。

インタビュー1