坂本龍一/再び訪れた、かしも明治座で 

119年の歴史のある明治座は坂本龍一さんにはどのように感じられましたでしょうか
昔は隣の東白川村にも芝居小屋が3つあったそうです。芝居好きというか当時は他に娯楽がなかったんでしょう。ただ雨漏りなどもあって、東白川では全部壊しちゃったそうです。その頃は新しいものが良いんだという価値観を日本中がもっていて、古いものの価値が見いださなかったんでしょう。
よくここは保存されて今でも使っているという…。楽屋まで行くと壁に明治とか大正何年という役者さんの落書きがあったりして、そういうものを壊してしまうともう人工的には作れませんから、文化財として出来るだけ長く保存してほしいと思います。
今、サミットをやってる時も裏の田んぼからカエルの鳴き声がね。昼間なのに、夕暮れから夜にかけてじゃないのかなと…。ここじゃ珍しくないでしょうけど東京やニューヨークに住んでると何年もカエルの声なんて聞いた事なかったんで、最近聞いてないってことも忘れていたんで今日聞いてすごく懐かしいなと思いました。風景や山も素晴らしいし、こういう古いものも保存しようと言う自分たちを客観的にみる目も皆さんきっと持ってるんでしょうね。
第16回明治座クラシックコンサートが今週行われるのですが 明治座でクラシックコンサートをやるということについてどう感じましたか?
ビックリしましたよ。ここに入ってくる時に横断幕があって、えー明治座でクラシックやるのって感じでした。ビックリしました。でもまあべつにヨーロッパでも、元々はね、木の小屋でやってたわけですし。
逆に言うと木の小屋なんか他にないんで、貴重かもしれませんね、もしかしたらね。
僕はここで演奏していないので、響きという点ではわかりませんけど、きっといい音がするんでしょうね。
明治座での演奏は音がというよりも心が伝わってくるという感じなんです。
空間が狭いし、お互い顔が見えるからいいんでしょうね。地歌舞伎なんかもそうなんでしょうね。なんかやっぱり場所が持ってる時間の堆積っていうんでしょうかね。それが感じられると思うんですよ。ああいう場所にいるだけでね。それは演奏にも影響を及ぼすと思うんですよ。そういう場所で演奏するって言うのは貴重な体験になると思います。ギリシャは石の文化だけど僕はアテネの2500年前の円形劇場で演奏した事があるけど、やはり凄いものを感じましたね。場所の。歴史の時間の堆積と言うか、そういうのは大切ですね。音楽のインスピレーションにも大きく影響を与えると思います。 
ぜひ続けてください。