現役の山と、現役の芝居小屋。
加子母の山々、木々に守られて、生き続ける明治座。
昨年の秋、明治座での歌舞伎公演の日に合わせて、初めて加子母を訪れた。
講演が始まる前の限られた時間ではあったが役場の方が周辺をいろいろ案内してくださった。
豊かな山、森、林。
私が住む鎌倉の山とはまるで違う空気を放っていた。
それはその山の材が今も生活のなかで使われていて、日常のサイクルの一部であるという、現役の山。
そしてそこに鎮座する明治座。
それはまるで夢のような舞台であった。
素晴らしい文化は過去のものではなく今も現役で生きている。山も明治座も。
そしてその実力は林業が中心であるというこの地域に佇む象徴的な建物であり文化なのだと感じた。
加子母の山につつまれて鎮座する明治座。
その建材にも様々な神が宿っているのでは…?
小屋の中に感じるは、山の神なのか? 芝居の神なのか…?
そういうものの気配を感じる場所に、ちょっとした依代のような…はたまた魔除けのような…
ものをつくり、さりげなく設える。
このプランは宗教的な意味を持たせようとしてはいない。
目に見えないあるものを感じようとすることと、ものづくりは、似ていると感じる今日この頃。
都会と違い、目に見えないもの=気配を感じることが出来る、素晴らしい環境が加子母にはあると想像する。
それに改めて向き合うことで、人を育むこと、また日常の営みに大切なものは何かを感じる機会としたい。
「 やどる - 芝居小屋 - 」
土地の人の案内で山散策。
そこで出会った素材には山の力がぎゅっとつまっている。
それらを明治座に持ち込んで工作したら、いろんなところに飾るよ。
そっと隠すようにね。
山の力と君の力。
2つがあわさった特別なしるし。