The23rd MEIJIZA CLASSIC CONCERT

Gustav MahlerSymphony No.1(クラウス・ジモンによる室内オーケストラ版 2008 )

 加子母に住んでいて、明治座クラシックコンサートを聴くのが毎年楽しみですが、今回は私もオケに乗ることになりました。レボアンの皆さんと一緒に音楽を作れるのは嬉しいことです。

 ピアノソロでオーケストラと一緒に演奏することはありますが「オケ中ピアノ」として演奏するのは初めてなので楽しもうと思います。

 マーラーの交響曲と言えば、大編成の弦楽器・金管楽器・打楽器が繰り広げる壮大でドラマティックな響きのイメージがあります。本来はピアノは入りませんが、今回はクラウス・ジモンによる室内オーケストラ版を26人で演奏するにあたって、広い音域を出せるピアノを加えることで足りない音をカバーします。アコーディオンも加わるので楽しみです。

 今回の交響曲第1番の第3楽章には聞き覚えがあるメロディーが出てきます。このメロディーはドイツの童謡「フレール・ジャック」をもとに作られていて、日本でも「グーチョキパーで、グーチョキパーで、何つくろう〜」の歌でおなじみですね。なじみやすく自然の情景を感じさせる曲です。

 正直なところ聴くがわに回りたかったですが、演奏する側に立って考えると、明治座で弾くというのは心構えがすごく重要なんです。反響がなく、自分の音が跳ね返ってこないので、自分の気持ちで音を出してそれを頼りにするしかないのです。普通のコンサートホールの方が断然弾きやすいと思います。

 ホールの響きに頼れないので聞いてる人に届いてるかどうかもわからない。だから明治座の空間というのは演奏者の気持ちとお客さんに力をもらうことで音楽が出来上がります。それが、えも言われぬ魅力を生みます。

原ゆうみ/ピアニスト(加子母在住)

プロフィール

桐朋学園高校音楽科、桐朋学園大学音楽部卒業、ロイユマルメゾン公立音楽院でピアノ・室内楽のクラスを修了。名古屋芸術大学に在勤中、加子母芸術村の募集を知り加子母に移る。現在は加子母での音楽活動の他、舞台音楽・自作の曲の創作を楽しんでいる。